泰西蒼竜切貝細工

年賀挨拶用に作成した小ネタです。鎖国時日本に入ってきたヨーロッパのドラゴン図像が当時の工芸意匠に取り入れられた、という想定で作りました。


泰西蒼竜切貝細工

「禽獣魚介蟲図譜(Historiae Naturali 1650-53)」はライデン大学教授だったヤン・ヨンストン(1603-1675)による博物図譜。1663年オランダ商館長インダイクから幕府に献上 され、1741年には本草学者の野呂元丈が「阿蘭陀禽獣虫魚図和解」として抄訳、蘭学隆盛の先駆となりました。後には平賀源内が私財を投じて原書を入手し ています。

この本に描かれた精緻な図像は当時の美術・工芸にも多大な影響を与えました。画像は切貝細工による珍しい例。青貝の色から四神の蒼竜を連想したものと思われます。




元ネタはマンハイム大学から公開されてるのを参照しました。 http://www.uni-mannheim.de/mateo/camenaref/jonston/vol5/te06.html



材料の薄貝。アワビ。螺鈿に使うものです。



元画像からシルエットを作り下図にします。貝が薄いので透けてみえる。クラフトナイフや縫い針を研いで自作した刃物で切り跡をつけて折り取ります。



夜店の型抜きと同じ要領でちょっとづつ切り取っていきます。



ある程度まで切ったらヤスリ掛け。



悪魔的な怪物だった元絵から比べるとかわいくなってます。