赤岩湯本家忍者屋敷-からくり引き戸の再現-

最善を求めること、最適を行うこと

 

作品の建具は連結されていて、一方を開けば他方が閉まるというように、一対の引き戸の中で連動している。そのため、自分が正解の出口へ向かって進んでいるとき、その行為は別の地点から正解を求める他者にとっての障害になってしまう。

 

これは、他者とうまく共同しないと目的を達成できないこと、もしくは他者の意思や行動が自分の意思や行動に影響を与えることを示している。参加者全員が自分にとっての最善を求めようとすると、事態が膠着した全員にとって最悪の状況に陥ってしまう。

 

忍者はその目的達成のために、あえて敵対する他者へ利益を誘導することもあった。その利他行為によって、忍者が所属していた社会制度は最悪の状態(=紛争)を免れていた。個々の利益の追求によって全体が行き詰まるこの作品における最適解とは、参加者それぞれが少しずつ自分の行動を制限し、譲り合う状態なのかもしれない。

 

連結建具図面 

 

 

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