門扉カラクリのしくみ

「門扉カラクリ」は上州から越後地方にかけて伝えられていたカラクリ仕掛けの一方式で、江戸時代中期頃から存在していたと見られる。その名のとおり、門や扉を開閉させて出来る組み合わせを利用して、物や人の流れに何らかの制御を加える機構のことをいう。現在の目で見ると、この制御方式が2進数による論理回路に類似しており、同時代におけるその他のカラクリ仕掛けと異なる特徴となっている。
門扉カラクリを成立させるためには、1通路、1組2枚の扉が最低限必要になる。通路には左右または上下に2分された領域が確保され、そこに対して扉が1組づつ配置される。この扉には襖のように左右にスライドさせて流量を制御する形式が多く用いられている。1組の扉のうちどちらか片方の扉は可動(通常は流入口方向)、もう一方の扉は固定(通常は出口方向)されていなくてはならない。
論理回路との対応でいうと、入口から出口への何らかの流れが電流、可動する扉が入力のスイッチ、出口から出てくる流れが出力値となる。

以下の例に共通の条件
 1. 門扉には襖を使用する
 2. 襖を左に動かすと1入力、右に動かすと0入力

  (条件2は逆でも成り立つ。その場合はすべての配置が左右反転し、逆論理となる)
 3. 入口方向の襖を可動、出口方向を固定とする
 4. 信号源となる流れは入口から出口への人の移動とする

 5. 図は左から、回路図、真理値表、平面図、アイソメトリック図

 6. 3図と4図は、A=1、B=1入力の状態を描いている

 


1.肯定接続


2.否定接続


3.AND接続


4.OR接続